こんにちは。こんばんは。
もうすっかり秋ですね。
真夏は例年通りあんまりお仕事が進みませんでしたが、少しずつお仕事はしておりました。
今日は珍しく、少しだけ製作記事を書きます。というのも今書かないと今後ちょっと忙しくなりそうなので。
現在塗装の最終段階ですので、来月中にはお届けできればいいな。
あ、今回の子はベースです。フルスクラッチの4弦は製作2本目かな。5弦も含めるとベースは4本目ですね。うちの子達のナンバリングで言うと13本目にあたる子です。
それでは、いきなり塗装直前の様子がこちら。
木工工程における仮組段階。
さすがに配線まではしてないですが、殆どのパーツがしっかり寸法通り完璧に配置出来ているか確認してます。
あ、あとこの子はご覧の通りPJです。よく考えたらこれまでのオーダー製作はジャズベシェイプばかりでしたね。
もちろんこの子もメイキング動画は作る予定なので詳細はそちらに載せますが、こちらでも軽くご紹介。
中々細部は豪華な作りです。
トップは私自身用でもよく使うキルトメイプル。
バックはマホガニー、
ネックはハードメイプル。フレイム杢で、且つサーモウッド処理がなされています。ネック材単体としてはかなり高額でしたが、音出しが楽しみな材です。
で、製作工程…といってもフラットトップなので工程自体はいつも通りです。
杢目材多めなので加工難度が少し高めなくらい、あとは今回はベンドが多めだったかな。
トップのドロップトップは昔失敗しまくったから苦手意識が消えないのですが…
今回もきっちり上手く張れました。
まぁ前回シズク(zt-10)で上手く曲げられるようコツは掴んでいるので。ヨダカ(zt-5)の失敗が未だに尾を引いてますね。
さらに、
この子はマッチングヘッドなので、ヘッドトップもベンド(曲げて)しております。
画像はまだ指板接着前ですが、このタイプのヘッド形状にトップを張るのなら曲げるのが正解かな、と。
もちろん世間には0.5㎜厚の突板シートなるものもありますが…基本的に私が1から製作する楽器にそういったものは使いませんので。しっかりとした「木」を使います。
カラーをマッチングにするなら、ということで、トップ材の余り部分を再利用、再ブックマッチしてセンター合わせで貼り合わせました。
で、あとはいつも通り。
指板溝に指板Rもしっかり加工。
さらにインレイも切り出し。
せっかくのフルオーダーですし、殆どの場合ご希望いただけるので今回もしっかり準備。
こちらはマザーオブパールを使用して、形はコウノトリということでオーナー様と打ち合わせをしてこの姿になりました。
で、
埋め込み完了。
大部分端折ってますがボディのザグリ等々は終わらせてあります。そちらの工程は動画にてしっかり載せます。
で、ネックは指板を張ったら最後の加工。
グリップも成型したらおしまい。
この画だけだとフレイム杢が全然出てくれてませんので、シーラー段階のカットも一枚だけ。
杢目材特有の動く杢目がやはり綺麗ですね。
サーモウッドなので音も楽しみということで、完成が待ち遠しいです。
と、現在製作中の子はこのくらい。来月にはまた別件のオーダー(今度はギターです)が始まりますので、そちらもしっかり進めてまいります。冬にはさらにもう一件あるから、7、8月のようにのんびりしていられなさそうですし。
あ、と。少し番外にはなりますが、こちらの製作も行っておりました。
ネックのオーダー製作。※オーナー様のご許可も頂戴しております。
こちらもベースネックです。
元々のネック、というかヘッドの4弦ペグポスト穴に亀裂も入っておりましたので、今回はネックのみの製作と相成りました。
ただ、基本的にネックのみのオーダー製作はお断りしております、
というのもまず、例えばセットネックだとかなり大掛かりになってしまい、それに伴ってお見積もりも高額になってしまう点。
あとボディのポケットの状態にかなり左右されることもあるので、結構難しいです。メーカー製でもネックポケットがしっかりしているか、というとそうでもないことのほうが多いし、ポケット自体の微調整は最小限・・・というか出来れば避けたいところですから。
現にこれまでも何度かネックのみのオーダーのご相談は頂戴いたしまして、大変嬉しくも申し訳ないことに難しいことをお伝えしております。
今回はヘッドの状態がかなり危うかったこともあり、また以前当工房のP.U.をオーダー頂いておりまして、しっかりご理解いただけるオーナー様だということが分かっていたから可能でした。
といいつつ、リペアもそうですが、他では確実に難しい、と判断されるものに関しましては、事前に画像等をお送り頂いて状態を拝見してからお受けすることもあります。木工がメインになるのなら私の主戦場ですし、特にその分野に関してはこの地元でも楽器を任せられるところは他にないので…。
ネックの製作は少し画像データが少なめですが、細部は残してあります。
構造自体はフラットソーンとクォーターソーンの3ピースですが、ヘッドトップにも薄くメイプルを張りました。
指板もメイプルなので、音の輪郭はかなり明確な構成ですね。
オーナー様が比較的ダウンチューニングで使用することが多い、ということでこういった仕様でご希望頂きました。
さらにネックポケットにも角度がついているので仕込み角がつく分、弦高はかなり下げたセッティングが可能です。
こちらは、ナット溝を掘る前の画像。
伝説の神獣ケルベコスも召喚されてます。
再全景がこちら。
木材がガラリと変わったのと、リバースヘッド化、さらにドットは黒蝶貝になっているので、結構豪華な仕様にもなっております。
あとロゴは今回ご厚意で大きめのものをご希望いただきましたので、特に大きいものを作って貼ってあります。
あんまり私のOZを前面に出し過ぎてしゃしゃり出るのもどうかと思ったのですが、せっかくならということでしたので。
あぁ、ロゴで思い出した。
何年も前からですが、他の楽器屋さんで売られている楽器にOZがついていてもまず私の製作したものではないと思いますのでご注意くださいませ。たまにお問い合わせ頂けるのですが、基本的に私の作った子達はこのサイトか動画になっております。特に1から製作した子達は全てYoutubeに投稿しておりますので。
っと長くなってしまった。
けれどたまにしか更新できないので、その時くらい長々と書いても良いかなって。
こんな長い記事をここまでお読みくださいまして誠にありがとうございました。
時期は秋。
秋彼岸、月命日。
長月は何かを作るにあたってようやくちょうど良い頃合になってまいりました。
ご依頼の製作も順次始まりますが、合間を見て私自身の子もまた作りたいな。
此岸から、彼岸まで。
月の向こうの空にいるはずの1人へ確実に届く一本を作りたい。
そんなことを思った秋の夜長でした。
おやすみなさい。