リペア―ストラト、ブリッジ位置変更―

こんにちはこんばんは。

 

 

・・・あぢぃ・・・。

 

 

まだ5月ですよね??まだ5月のはず・・・なんだこの暑さは・・・。

やる気にも関わるので、ちょっと勘弁して欲しいんだけど。

 

さて、それはともかく。

 

今回はネタがいっぱいあります。趣味まっしぐらのネタは次にまわして・・・今回はリペア記事にします。

 

ちょっと厄介なお話になるので、こちらでも補足しておかんとなぁ・・・と思ったので。

 

 

まず、ジャパンビンテージってご存知ですか?

 

まぁいわゆる70年代80年代の国産ギターですよね。

僕も数本持っていますが・・・今回はそれに泣かされました。

 

手持ちも含め、今まで何本かその手のギターを修理してきましたが、総じて・・・大変w

 

作りはとても良いんです。ただ・・・やはり経年がキツイ。

塗装(塗膜)の状態やビス、各所の磨耗がやっぱり大変。

 

で、今回はトーカイ製のストラト・・・確か80年前後くらいのものですね。

 

ブリッジサドルの位置変更(穴埋め含む)と全体的な調整のリペアです。

 

ご好意で掲載許可もいただいたので、ブリッジ周りを中心に画像を含め解説していきましょう。

 

 

さて、まずは最初の状態。

 

弦を外してスタッドのビスを外したところです。

※弦間ピッチやポールピース上の弦の位置を確認するため弦を取っ払っていない状態。

 

 

 

 

弦が張ってある時はそんなにずれていないようにも見えたのですが、いかんせんポールピースの真上から弦が少しズレているのが気になりました。

まぁ、厳密にはピックアップコイルの(ポールピースの)真上にしか磁束帯がないというわけではないので、完全に真上にくる必要はないんですが・・・。

 

スタッドを外して気づく。

 

・・・あ、そういうことね。

オーナーさん曰く、ブリッジのプレートを交換して、サドルは純正のものを使用したそうなので、元々のブリッジはどうだったのか明言はできませんが・・・ピッチがズレています。

 

上のブリッジの弦間ピッチが11.3mm

で、スタッドの穴のピッチが10.8mm             ※あ、弦間ピッチってのは弦と弦の間の長さのことを指します。

 

恐らく元々は10.8mmピッチのブリッジだったのかなぁ・・・?自信はないけど。

 

で、一般的には10.8mmとかが使われているんですが・・・11.3mmというのは主にビンテージ系によく使われる弦間ピッチです。

 

0.5mmの違いですが、これが1弦~6弦までの距離になると、地味に大きな違いになるんですね。んでパッと見で気づきにくいのが厄介w

あと、11.3mmピッチのブリッジなので、当然ピックアップもそれに合ったものでないと、位置がズレる、というわけですね。まぁ、多少ずれたところでさしたる問題もないのですけど。

 

センター自体は外れていないので、とにかく穴埋めしてあけなおします。

 

 

で、穴の径を測る・・・3.5mm。

 

 

・・・まぁそうですよねー・・・。

なにより問題なのはバック側のスプリングキャビティまで穴が貫通していること。しかも裏側の穴は3.5mmどころか、2~2.5mm径。

 

これは裏表からそれぞれ埋めないとダメだ・・・ってことで埋めます。

 

3.5mmの丸棒なんてそうそうないので、まずはそれを作成するところからです(←w)

 

4mmの丸棒を使用して旋盤の要領で削っていきます。後からボール盤使えば良かったと気づいたけど、作業の面倒さはたいして変わらなかったので、まぁいいか。

 

ちなみに材はラミン材です。最近はちゃっかり稀少材らしいのですが、近所のホムセンにたくさん売ってましたwwただ4mmのを見つけるためにちょっと何件かハシゴしましたが。

 

人によっては埋める材に爪楊枝なんかを使用したりするそうですが、楊枝の径なんて2mmちょっと・・・さすがに表側の3.5mmには使えないかな・・・。

一応、完全に打ち込むレベルでキッチリ作らないと怖い部分ですので、しっかり作ります。

あ、ただ、ピックガードなんかの穴埋めに使う分には良いかもしれないですけどね。あんま強度とかいらんし。

 

 

で、これを6本適当な長さで作成し、打ち込んでいきます。

 

接着にはタイトボンドを使用しています。

エポキシを使う方もいますが、インレイ等と違ってここは強度優先で、見た目は二の次で行います。一応簡単にタッチアップするしね。

 

タイトボンドは完全硬化すれば木材より硬くなりますから、この場合なにより信用できます。

 

 

 

で、裏側もしっかり穴埋めして一晩放置。正確には仕事の都合で二晩放置。

 

 

 

 

 

 

そんでもって完全に硬化したら、出ている部分をノミで払います。

 

マスキングはちゃんとしていましたが、それでも塗装剥がれないようにやるのって結構緊張するんですよねw

 

特に塗面が結構薄くなっている印象なので、色々気を使います。

 

やっぱり結構前のギターなので、薄くなってくるのか・・・それとも最初から薄めの塗装で綺麗に仕上げてあるのでしょう。国産ギターの仕事の丁寧さには驚かされますねー。

 

ただ、薄いとデメリットもあって・・・。

どうしてもこういったエッジや外周部のキズ、スレ、打痕が避けられません。

 

とはいえ、ここら辺も修理してタッチアップすると結構大変なので、このままにしておきます。まぁ今回の依頼内容にはないので、余計なことはしないでおきましょうw

 

一応、作業全体が終わったら、超極細のコンパウンドで全体研磨は軽くしておきますが・・・深いキズばかりは治らないので・・・。

 

 

で、軽くタッチアップ後、センターやブリッジ位置を確認して・・・

 

 

 

 

いよいよ穴をあけていきます。

 

 

 

ピッチのズレ程度なので、元々あった位置が僅かに変わっただけなので・・・見た目にはあまり変わったように見えないのが悲しいところ・・・。

 

いろいろ頑張ったんだけどなぁ・・・w 

 

 

 

 

で、ブリッジをセットしてさぁ、ビスを締めていくか・・・!

 

 

・・・と思ったんですが・・・。

 

 

 

ホントごめんなさい。

 

 

悪気はないんです・・・。

 

 

というかここまで頑張ったのに・・・。

 

 

 

経年ですでに舐めていた頭が逝ってしまわれた・・・。

 

 

これだからビンテージは怖いんだよぉぉお。

 

 

とりあえず、オーナーさんに連絡後、お許しいただけた(と勝手に思っている)ので・・・新しいものに交換することになりました。他のもダメになる寸前のビスがいくつかあったので、正直助かった・・・。

 

 

現在発注して、発送も済んだらしいので、なんとか間に合うでしょう。

 

 

とりあえず、それを締めて、あとは弦高とオクターブ調整。最後に全体的に磨いて終了ですね。

 

 

 

特に失敗するところも何もない手馴れた作業なので、あとは安心して出来る。お外も涼しくなればもっと快適にできるのに。

 

 

 

最後にやらかした以外は、なんとかなりそうです(笑)

 

 

 

ビンテージって怖いね・・・w

 

 

あと、今回の主たる原因の弦間ピッチについてですが・・・あまり普段は気にしなくても問題ない部分です。

 

交換したり、改造したり、製作する場合には注意する必要がありますが・・・メーカー製のブリッジだったり、現行モデルだと最初からそこら辺は考えられて作られていますので大丈夫なはず。

 

 

 

ただ、今回のブリッジだと、サスティンブロックが(恐らく)寸法がギリギリなのでアーミングを多用するならザグリ拡張も視野に入るのですが・・・それは追々ですね。シンクロナイズドトレモロでアーミングしまくる方もあまりいないと思いますのでw

 

 

 

そんなこんなで、今回のリペアでした。

 

 

 

 

次はまたネタを変えて製作のほうも更新しておきます。

 

 

 

 

それでは長くなってしまいましたが、本日もお疲れさまでした。

 

 

 

 

 

ほなー。

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