フルオーダーギター製作【1本目】⑤―指板製作。インレイ加工完了―

こんにちはこんばんは。

 

近頃思うんですよね。

 

・・・本業行ってるときの方が暇なんじゃなかろーか・・・。12月になると本業のほうは閑散期に入ってくるので余計暇を持て余すんですよねぇ・・・まぁなんだかんだ言って仕事はあるんだけれども。

 

先日は、暇を持て余しすぎて、工房にある、これまで仕入れた工具設備をリストアップしてその費用を概算で出したら恐ろしいことになりました。

 

最近は全く覗かないけれど、昔、製作やリペアをはじめたばかりの頃、調べものをする際、某やっふぅぅううッな知恵袋にヒットすることもあって、その都度見ていたんですけどね?

Q:「ギターを作ってみたいのですが、難しいでしょうか?工具はどういったものが必要ですか?また全て揃えるといくらぐらいかかりますか?」的な質問って結構あるんですよね。

個人的には、どーせ止められたって、本当に作りたいヤツは放っといても作るんだから、考える前にとりあえずやってみれwと思うところなんですが・・・、

某知恵袋に常駐してらっしゃる経験のある方々は、「揃えたら数十万はする」とか「あなたにはムリだと思う」とか・・・中々厳しいことをおっしゃるなぁ・・・と思って見ていました。

 

ぶっちゃけ一本作るだけなら、そこまでかからないです。結局はどこから、どの程度の製作をするかで変わってくるからね・・・。

件の経験ある方たちの出来るレベルの範囲なら、誰でも出来ます・・・結局はやるかやらないかの話ですし。

 

そんな僕は、その当時すでに1本目、2本目の製作を行っている頃でしたので、「そんな何十万もかかんねぇよw」とか思っていた・・・。

いや、正確にはつい先日まで、精々今までかけた額なんて2、30万程度だと思っていた・・・。

 

50の大台超えてたかぁ・・・・・・そのあたりまで概算出したあたりで電卓をパタンと閉じたから、正確なところは知らない。・・・知りたくない。

輸送費やら消耗品、手放したものなど含めると・・・50どころじゃないですね・・・やめよう。考えるのはやめよう。

 

コレでよくもまぁドラムサンダーだのバフマシン欲しいとか言えたものですね。自重しよう・・・。

ちなみに1本目~2本目製作の頃から憧れていた工具類は全て揃いました。

挽き割りまで可能なバンドソー、手押しカンナ、電子ルータ、そしてラジアルボール盤・・・わぁい、ホントに僕、アホなんじゃないのww・・・実はそれでも製作者としてはむしろまだ全然金額的に少ないほうだと思ってるんだが。

 

そして、増え続ける工具類のせいでスペースが・・・ね。

前回も書きましたが・・・古いほうのバンドソーとボール盤・・・どーしましょーねぇ。

 

まぁ・・・そのうちなんとかしましょ。

 

 

すっかり前置きが長くなってしまいましたが本題です。

 

今回は製作のほうね。

 

リペアもありますが、ちょっと最近製作記事がご無沙汰だったので・・・そろそろ上げなきゃならん・・・と思いまして。

 

ご無沙汰だったのは、なにも製作を全くやってなかったから、というわけじゃないんだよ。

 

つーかすっげぇやってました・・・苦行でしかなかったんだ・・・。やってもやっても終わる気配がなかったんだ・・・。

 

今日は・・・指板製作です。前回はヘッドのブックマッチと切り出し、ロッドーカバー製作のあと、軽く指板も平面出しと厚み調整をして、フレット溝の切り出しまで行ったんでしたね。

 

指板で、その次にくること・・・ええ・・・インレイです。

コレが相当に僕のMPをもっていってくれました・・・。

 

まずは製図を出しましょうか。

製作当初のインレイ案です。

オーナーさんから猫の足跡で、というご指定をいただいていたので。

 

それもあって前回のロッドカバーのインレイがああなったワケですね。

 

ただ、この製図はかなり初期のものなので、ここから二転三転しています。

 

足跡の配置も変えたし、「目」の部分はあえて使いません。あ、ちなみにこのインレイデザインは某ESPさんが出している坂崎さんモデルの足跡を参考にしました。

ただ、目の部分をそのまま使うのは色々問題もありますからね・・・そもそも丸パクリは好きじゃないですし、ロッドカバーをああいう風にした以上、この「目」はいらないと思うんだ(独断)

 

 

まぁ猫の足跡インレイ自体はいくつかのギターでも見たことがありますし、何の問題もありませんけども。(そもそもESPの猫足跡も絶対アレ後発だし)

 

 

で。

 

まず猫の足跡ですが・・・いろいろ探してみたら、人によって作り方は違うんですよね。

人間でいう「手のひら」に該当する部分の、猫の肉球の大きい部分はみんな切り出しで作るんですが、指の部分は小さいドットで代用していたり・・・特にパーロイドじゃなく本物の貝を使うインレイだと、それが顕著です。

まぁ大変だもんね・・・わかるよ・・・わかる。指の部分を2~4mm径の楕円に切り出す、それも足跡1つにつき4個(と手のひら部分1個)、それを10セット以上作るとか想像を絶する苦行です。

 

 

 

・・・・・・。

 

・・・なんで俺はそれを製図で作ってしまったんだ・・・。

 

 

1個作った時点で分かりました。

 

 

 

あ、コレ、ムリだわw

 

 

てことで。

 

指部分はドットインレイを代用します。

 

うーむ・・・。

 

 

なんか違う気がする。・・・違うよね?

 

猫の足跡なのに、なんか画一的・・・。

生き物の歩く足跡なのにこう全て同じ円、というのはなんか違う気がする・・・。

 

うん・・・。やっぱ加工しよう(結局)

 

やった。

やってやった。

※東北以北でよく使用される表現です(ホントか?)・・・「やりきった感」のニュアンスですので、恩着せがましい意味じゃないんですよ?w

 

歪なのが混じってるけど、なんかコレでいい気がする。

 

 

 

というか、ドットをこの不規則な楕円にするのにどんだけ苦労したか・・・。

 

とにかく苦行でしかない足跡作りは終わったので・・・指板も掘っていきますが、その前に。

 

 

パーフ溝を先に掘ってしまいます。

 

久々のトリマさん。やっぱ軽くていいですねぇ。

こういう取り回しの良さが要求される場面では未だ活躍します。

何年も握り続けた筒状のグリップは手にフィットします。

苦労して扱えるようになった工具だけあって愛着もひとしおです。

 

そもそも僕のギター製作はこの子を買ったところから始まっているから、ね・・・。

 

で、パーフ溝が終わったら、いよいよインレイの穴掘り。

 

 

が。

 

・・・。

 

 

 

 

なんか、アレだな。

 

PRS系を作ると絶対何かしらビットが折れるな・・・前回然り。

 

しかもこのビット。StewMacで買ったものなんですよ。

 

予備はない・・・。てことで急ぎ発注しました。前回の記事でも書きましたね。

DHLなので、数日で届きました。

てか、StewMacでDHLを使うと、ウチの住所が長過ぎるのか、毎回途中で切れてるんですよね・・・会津若松市○○町・・・とかで。番地までは確実に書かれません。ひどい・・・。

最初は佐川さんから確認の電話がかかってきたけれど、二回目以降は相変わらず住所欄が途中までで終わっているのにしっかり届けてくれる佐川さん・・・すげぇなwそして本当にゴメンなさいw

 

そんなこんなで・・・

 

 

 

届きました。

 

 

 

コレ・・・1本で20ドルもするんだぜ・・・。

 

 

 

 

なにはともあれ無事届いたので・・・とっとと掘り出します。

 

コレも中々に大変でした。

 

丸一日もかかってしまった・・・。

 

実はインレイ加工の掘り出しについては動画も撮影してあるので・・・そのうち上げます。製作工程の動画内に組み込んでもいいですね。

この時、初めて作業中の自分の汚いツラを真近で客観的に見たわけですが・・・難しい顔してるなぁ・・・眉間のシワが酷かったw

 

で、インレイを瞬間接着剤で固定しつつ・・・パーフ(アバロン)も接着しておきます。

 

この時、すでにアバロンの内側には白のパーフリングが接着してあります。

 

白パーフについては接着はいつも通りアセトンですね。

どこぞで売っているセルボン(だっけ?)なんて使いものにならんので。

 

白パーフの接着なんかは前回3本目の製作と同じなので割愛。

違うのはアバロンのほうですね。

前回はアバロンっぽく見えるパーフリング材(樹脂製)を使いましたが・・・今回は本物の貝を20mm長に貼り合わせてあるパーフリング材(モノホン)を使用します。

もちろん値段も桁が全然違います。・・・が、今回はしっかり予算がおりているので(笑)遠慮なく美しい本物のパーフを使いましょう。

 

で、アバロン接着後・・・インレイもエポキシで充填、硬化後・・・平面を出して・・・

 

 

 

 

インレイ完了―。

 

 

 

 

 

あ、画像が前後しますが・・・

 

 

平面出しした後、パーフリングも含めて溝を切りなおしています。

 

 

 

インレイもフレットが入る部分は切れ目を入れなければならないので・・・めんどくさいけど仕方ないですね。途中でアバロンが簡単に外れるし・・・本当に大変でした。

 

 

で、この時にフレットが十分入る深さまで切れ目を入れます。

 

一回で目的の深さまで切れればいいんだけど・・・僕はまだ一回で完璧に切り出せる自信がないので2回に分けます。

 

どうせパーフやインレイも切らなきゃならないなら二度手間にならないですからね。

 

 

で。ここまできたらキリのいいところまでやってしまいます。

 

バインディングの接着です。

 

発注したバインディングが6mm幅なので・・・絶対に上が余ります。

 

 

ていうかホント・・・なんで4mmとか5mm幅のバインディング材売ってないんだろ・・・まぁ6mmだろーがカンナで削りだすからいいんですけどね。

 

 

そんな具合でバインディング接着後、余った部分をカンナである程度削って・・・最後にR付きブロックで指板Rを完璧にして・・・。

 

 

 

 

 

指板製作・・・(ほぼ)完了―。

 

 

 

 

フレッティングはまだです。体力的に余裕がある時に済ませてしまいます・・・。

 

 

 

この指板だけで連日相当気力や体力を持ってかれたので・・・少しインターバルを・・・くだせぇ・・・。

リペアもあるし・・・。そっちもやんなきゃ・・・。本業・・・?知らんな。

 

 

 

あ、ちなみにヘッドストックのロゴもさりげなく同時進行で完了しています。

 

 

実はロゴも一回切り出して、それが途中で割れて、また切り出したりしてます・・・。

 

 

で、接着時、やっぱり細過ぎて再度折れたので・・・そのまま接着されています。

うーん・・・肝心要の頭文字のPの筆記体(PRS風の字体)だけは意地でも折らずに接着できたので、まぁ良かったとしよう・・・。

さすがに後の小文字のほうを繋げて切り出すのは細過ぎてムリポ。

 

 

とにかく・・・これでインレイは一通り終了です。

 

あー・・・辛かった・・・。

 

 

 

それにしてもやっぱ本物のアバロンパーフリングはキレイですなぁ・・・。

 

 

 

黄蝶貝のインレイもキレイですねぇ。

 

 

 

にしても・・・

やっぱり完全に均一に足跡をインレイするのは厳しかったかなぁ・・・。

 

 

 

頑張ったんだけれど・・・まだまだですね・・・。

 

 

 

それこそ、インレイなんて今時、インレイに見えるステッカーだって売っていますし、それと何が違うの?って思われるかもしれない。

 

 

でも。

 

それは違うんですよ。

好きでつけている方々には申し訳ないけれど・・・それは「本物」じゃない。

 

そんなものに僕ら作り手が頼っては絶対にいけない。

こんな貝殻一枚一枚に苦労して、切り出して、削りだして、掘って埋めて・・・ってめる・・・この苦行の果てにこそ宿るものがある。

 

この足跡の一歩一歩にさえ宿らないなら、その先のロッドカバーで待っている子には絶対に届かないでしょう?

別に生き物のインレイだからってワケじゃありませんが・・・その苦労をしないなら、それを僕の子供とは呼べませんので。

 

 

そうは言っても、まだまだ未熟すぎて、悔しくて堪らないですけどね。

まぁ、これからも地道に腕を磨きます。どうせもうやめるなんて出来ないんだしさw

 

 

 

 

てことで。

 

結構製作が遅れがちになってしまっていますが・・・が、がんばります。作業時間だけはかなり占めているんだけどなぁ・・・先が、遠いw

 

もちろんリペアも平行して進めておりますので、もう少々お待ちくださいませ!!

 

 

 

 

 

ではでは。本日もお疲れさまでしたー。

 

 

 

 

 

ほなー。

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