リペア―リフレット、スイッチ交換等―

こんにちはこんばんは。

 

もう7月も終わりですねー、早いなぁ・・・。

 

あ、私事で大変恐縮なのですが・・・つい先ごろ、29日は誕生日でした。

 

平成29年の7月29日に・・・憎憎しいな。

 

 

まぁいいや。歳のことを考えると気が重くなるので考えないことにしよう。

 

 

 

 

 

それはさておき。

今回はリペア記事です。

ある程度目処が立ったので、書いていきます。

結構納期を待っていただいているから、はよ仕上げなきゃならんのですがね・・・夏よ。よよよ。

まぁ材料費を抑えるために、自分のちょっとした仕入れのついでに交換用のフレットも輸入したりもしていて、結構伸び伸びになっていたのもあるので、仕方ない部分はあるのですが・・・。

 

 

てことで、今回のリペアは上でも触れましたが、リフレット(またはフレット打ち換えorフレット交換)です。

その他の内容は、ネックジョイント部のプレートをトーンシフトプレートへ変更(←まぁこれは加工賃とか以前にモノを発注して取り替えるだけなんだけどw)

あとは5wayスイッチ(セレクター)の変更。

また、実際にお預かりして、ちょっとジャックにもガリノイズがあったので、こちらもオーナー様の許可を得て新しいモノに取り替えました。

 

なので、実際の作業内容としてはリフレットと電装系の一部換装、といったところでしょうか。

電装系をいじる上で必須なハンダを使った配線云々は・・・ぶっちゃけそこまで難しくありません。普通のプレイヤーさんでも出来る方は結構いるんじゃないかな。必要なのも、コテとハンダと配線やニッパー類だけで・・・リペアの敷居は低めなので。

なにより、失敗しても致命的なことにならないし!!(よほどじゃない限り)

 

一方で。フレット関係・・・というかネック周りは危険です。こればかりはおススメしませんね。専門工具が色々必要だったりするし。工具さえあれば出来るものでもないので。

 

 

 

 

 

で。前置きばかり長くしても仕方ないので・・・とっとと作業内容をみていきましょう。

※あ、今回もいつもどおり掲載許可をいただいております!!(例によって例の如く、載せて良いか聞くのをずっと忘れてたけどw毎度のことっすねw)ありがとうございます!!

 

今回はこの子。

 

・・・さっそく画像がブレてますが・・・許して下さい。

 

GUARDIANというブランドのギターだそうな。

 

ピックアップはHSH配列、22フレット仕様。ブリッジはゴトー製のロッキングトレモロ。

ハードロック系向けですね。僕も大好きな仕様です。

 

画像内にチラホラと工具が散在していますが・・・これから使うフレッティング関係の工具たちです。

 

さっそく状態を見てみましょ。(そーしましょ♪)

 

フレットの状態です。

 

オーナーさん曰く、ここ何年か弾けていなかったそうなので、ちょっとサビが浮いてしまっていますが・・・

 

 

 

いいですね・・・。

・・・良い。

こういうフレットを見ると嬉しくなります。

 

確かに今弾いていなかったとしても、これだけ磨耗している、ということは、それだけ弾きこんでいたことの証です。

やっぱりどうしても、ボディも含めて小さな傷はたくさんありますが、それでも。

こんなになるまで弾いてもらえたギターは絶対に幸せだったと思うから。

 

こういうギターが僕は大好きです。もちろんそんなオーナーさんもね。

楽器を、インテリアや看板かなんかと勘違いしている方々には・・・きっとこの嬉しい気持ちは理解してもらえないだろうけどさ。

 

 

さて。

ちょっともったいないけど、さすがに演奏に支障をきたすレベルで(実際にはまだなんとか大丈夫なレベルですが・・・)減っているなら何とかしなくてはなりません。

そこまで減っていないならすり合わせだけで対応できそうかなぁ・・・?と実際に見るまでは思っていたのですが・・・ここまで減っていると下手にすり合わせするのもアレだし、なによりステンレスへの打ち換えをご希望されていたので、リフレットと相成りました。

 

※ちなみにステンレスはどこのショップに持って行っても割高になってしまいます。通常のNS(ニッケルシルバー)よりも硬いので加工が大変だから仕方ないね・・・。

 

フレットはジェスカーにしました。当初別のメーカー製にしようというお話だったんですが・・・ちょうど僕自身(の新作のために)、フレットワイヤーを輸入する必要があったので、その関係で、いっそ安くつくからついでに輸入しよう、ということに。

 

・・・だって国内で買うとフレット・・・高いんだもん。なんで10ドルも出せば買えるものをこっちで¥4000~5000も出さにゃならんのだ。いくら材料費が依頼された方へ請求されるといっても、ちょっとね。ただでさえリフレットなんて加工賃もそこそこに頂かなきゃいけないんだから。

 

 

で。輸入されたフレットたち。

 

5セットくらいあります。これだけあっても多分年内に全部なくなるんだろうな・・・。

つーことは、その頻度でフレットを打ってすり合わせやらクラウン成型やらせにゃならんのか・・・フフ。

 

5セットはありますが、中身は色々です。

3作目で使用したGold evoに、その他ステンレスや通常のNS18%など。

 

 

ただね。

言いたい。

いや、安いのはありがたいです。本当に。

 

でもこの状態でなんの説明書きもなく送られてきてさ、思うわけですよ。

 

こんなんでステンレスとニッケルシルバーの見分けつくかよ!

 

色同じだもん!分かんないよ!高さや幅の寸法も0・何mmレベルで一緒じゃん!てか同じ大きさのやつで発注しちゃったからねww

 

あ、ちなみに重さは違いました。・・・が、我が家の測りが現在行方不明なので確定には至らず・・・。

仕方ないから実際に切ってみて確かめるという原始的な手で判別しました。

 

うん・・・。まぁ硬さは明確に違いますね。ステンレスを切った後だとニッケルシルバーが紙のようだ。と、同時にこの後「この硬さのを削ったり成型すんのか・・・」と若干気が重くなったのはココだけの話なんだ・・・。

 

 

で。材の見分けがついたので・・・(どーしようこんなに書いたのにまだ作業内容にさえ入れてない)

 

 

元々のフレットを抜いていきます。

 

毎度のことながら、この作業・・・結構気を使うんですよねー・・・。

 

ムリに抜くと指板の木材が剥がれたり、アンカーが入った場所が拡がったり(説明しずらい)で、新しいのを打ち込む時にしっかり入らなくなるので、ここは細心の注意を払います。

というか、リフレット自体が最初から最後まで細心の注意を払わないといけません。

 

 

全部抜けました。

あ、ちなみに抜くときは画像内の黒い工具、喰いきりを使います。これはわりかし昔から持ってる工具で、僕がリペアやジャンク再生を始める初期から使用しています。

安心と信頼のホスコ製。値段は覚えてない。

ただ、もうフレットを抜くか、フレットをカットする時くらいしか使わないので・・・登場する場面が極端に少ない工具さん。影が薄い子。

リペアならともかく、製作だと撮影した画像に一枚も写っていないことがザラな子。・・・役には立つんですけどねぇ・・・。

 

で、二枚目に写っている木製の柄の先端に小さなノコ刃がついているのが、フレットスロットクリーニングソー。名前は長いくせに役割はかなり地味です。

抜いた後のフレット溝を掃除するためのノコ。

または製作時、フレット溝を切った後や、インレイを埋めたり、指板Rをつけたあとに溝に入った木の粉などを掃除するためのノコ。

・・・地味です。意外と役には立つけど・・・なんというか地味です。喰いきり同様、いつも画像に収まってない子。こいつもわりかし初期から持ってる道具ですね。

 

さ、地味な工具たちの仕事が終わったので・・・いよいよフレットを打っていきます。

 

フレット打ちは人によって違うんですが・・・。

 

最近はこの方法に切り替えました。

 

専用のプレスとカウルを使ってボール盤で圧入していく方式です。

しかも今回は硬いステンレスなので。

この方法がベストです。

昔みたいに、ハンマーでガンガン叩いていく必要もないので、静かに、そして確実にフレッティングが出来ます。

もちろんネックにかかる負担も減らせますし。

 

ボール盤所持が前提(専用の圧入用プレス機もあるよ!!高いけどw)で、専用のアタッチメントは輸入しなければならない、カウルは各種指板Rに則ったものを使わなければならない・・・と中々ハードルが高いのですが・・・あると便利な専門工具さんです。

 

もうコレを使う以上、ハンマーで打っていないので、フレットを「打つ」という表現は昔の名残りでしかないんですよね・・・。

 

あ、ちなみに。

フレットを打つ前に、ステンレスのフレット自体にも下処理はしています。

 

バインディング処理されているネックに使う用のタングニッパーです。

 

まぁこれは以前にも軽く触れたことのある工具ですね。

 

あると便利なんてもんじゃない。もうこれなしでは生きられないくらい便利な工具です。ちょっと高いけど。まぁ直接輸入すれば、国内の半額で買えるからね。

 

 

で、こうなります。

別にこのギターにはバインディングはされていないんですが・・・ネック側面のフレットエッジのスタッドの断面を隠すために、タングを切ってそこを打った後に埋める処理がされているタイプ(説明が分かりずらいけど、よくあるアレだよアレ。)

 

なので、わざわざこういうひと手間を加えます。まぁそれでもバインディング有りのタング処理よりはまだ雑でも良いから楽なんだけどw

 

そんなことをしつつ・・・。

 

 

 

一通り打ち終わりました。

 

 

 

 

で、その後・・・両端に微妙にはみ出たフレットをレベリングして・・・

 

 

その後、べべリングします。

※この画像は分かりやすく当てているだけ。撮影のため、逆手で持っているだけです。

このべべリング用の道具は自作されている方もたくさんいます。僕は面倒なので買いました。10ユーロ以下だったしね。Stewmacのは使ったことないから知らん。

 

あ、一応。いつものことですが・・・ナチュラルにべべリングとかレベリングとか言っちゃってるけど、べべリングは「斜め」にすること、レベリングは「水平」にすること、というザックリした理解で大丈夫です。

アレだ、PRSのSEなんかはベベルドトップ(アーチドトップじゃないよ)と言われますが、あれは本家のようにアーチになってるわけじゃなく、ボディトップをなだらかにベベル(斜め)にすることでアーチっぽく見せている、というわけです。

 

フレットの場合、両端をべべリングすることで、指に引っかかったりせず、しっかり運指ができるようにしているわけです。・・・まぁべべリングだけじゃ正確には足りないんだけども。※後述。

 

で、べべリングの後は、フレットのすり合わせ。フレットをレベリングして高さを合わせます。これも慣れた作業だから、さっさと終わらせました。

すり合わせについてはES335の昔の雑なリペア記事をご参考にでもどうぞ。

 

レベリングの後は、平らになったフレットを山(楕円?半円?みたいな感じ)の形に削り出す必要があります。

俗に言う、クラウン成型の作業ですね。僕が大嫌いな作業です。

 

こういう専用のフレットファイルで削りだしていくわけさ。

 

昔は一日がかりだった作業で、もれなく手のひらや指がとっても痛くなるという苦行でした。

 

今でも痛くはなるし嫌いな作業ではあるのですが・・・まぁ、もう正味1時間もかからんよ、こんな作業。24フレットだとなぜか精神的にくるものがあるだけで。

 

・・・というか、削れなくなってきたなぁ・・・新しいの買わなきゃダメかなぁ・・・。結構使い込んでるから・・・もうそろそろかなー。。

 

 

ちなみにこういうのも使います。

こっちはフレットエンドファイル。べべリングした後の角ばったところを削ったり、エッジの指が引っかかりそうなところを削って球面を出したりします。

こいつも初期からの付き合いですが・・・役割が地味過ぎて・・・。意外と大活躍するんですけどねー・・・。

 

どうしてもフレットは直接指で押さえて音階をきざむ大事なところですから、こういう道具で少しずつ手作業で調整していくしかないんですよねー・・・。こればかりは感覚的にやっていかないと。・・・だからまだ終わっていないわけで。

 

まぁあとはスチールウールでフレットを綺麗にしたりして大まかな工程は終了です。

 

その後、実際に弦を張ったりして大丈夫かどうか調整したり、僅かでもバリが残っていたりすると、演奏中は気になるものなので、それを処理したりですね。

 

で、こんな感じでリフレット作業はおしまい。

 

 

 

あとはネックを取り付けてからの作業です。いやぁデタッチャブルはわざわざボディごとやらなくて良いからいいっすねぇ。

 

あ、書くの忘れてたけど、フレット両端スタッド部分には、

こーいうものを埋めていますので、スタッド(タングと言ったほうが良いのかな)が見えないようにはなっています。

 

すげぇ汚いけど、大事なモノです。エポキシとローズウッドの粉を混ぜて作ったものですね。実際こういうのを製作時、インレイ作業などで使います。

 

 

 

で、エポキシとかは硬化の時間等の関係でわざわざ画像まで撮っていないので割愛w硬化後、軽くサンディングして完了です(雑)

 

 

さて、次々っと(今回長いなぁ)

 

 

一番厄介なリフレットが終わったので、あとは電装系です。

まぁスイッチの交換とジャックの交換なので・・・すぐ終わるだろう・・・とタカをくくってたんですが・・・。意外な落とし穴がいくつか。

 

まず、アッセンブリーをみましょ。まぁ使ってるパーツを実際に見ないと・・・うちの工房にないパーツだったら発注しなきゃならんしね。ジャックなんていつでもあるけどさ。

 

・・・ふむ。

その前に1ついいですか?

ピックアップのリア(とセンターもかな)を交換してあることは知っていたんですが・・・トムアンじゃないですかー。いいなぁ。

トムアン・・・実に気になっているメーカーです。いや、有名なのは知ってるし、常識なんですが・・・製作するにあたっての構造的な、ね。

特にあのネックジョイントはいつか・・・まぁそれはいいや。

しかし、このトムアンのピックアップ・・・僕が作ろうとしているピックアップの前段階のものそのままですね。

これをもっと・・・まぁそれもいいや。

ちなみにハムにもバルカナイズドファイバーが使ってあった・・・!

 

本題です。

肝心のスイッチに注目。

 

 

あー・・・スーパースイッチでしたか・・・。発注決定です。こーいうのはわざわざ在庫にストックしてないし。

トーンシフトプレートを発注しなくちゃいけないし、全く問題ないので・・・

 

発注しました。みんな大好き音家さん。いつもお世話になってます。

 

というか・・・トーンシフトプレートはともかく・・・スーパースイッチも高いんですねぇ・・・。

この2つで¥6,000近く吹き飛びました。まぁ通常の5wayと違うから仕方ないのかな。

 

ちなみに。

普通の5wayは2回路3接点。

上のスーパースイッチは4回路5接点。配線だけで色々できます。その分、配線するにあたり、ハンダ付けがほんの少し難しくなるかなぁ・・・。個人的には、難しい、というよりひたすら面倒なだけです。お兄さんもう若くないから小さい配線だと老眼がねー・・・。

 

 

アホなこと言ってないでとっとと配線してしまいましょう。

 

結論。

 

ハンダ作業は夏場にやるもんじゃねぇな、と思いました・・・。

クーラーついている部屋まで避難して作業したのに暑いんだよ。コテが・・・熱源がすぐそこにあるんだよ・・・(´;ω:`)

 

 

でも、頑張りました !(`・ω・)オーナーさんから差し入れしてもらったドリンクはがぶ飲みさせていただいたけど!ww

 

 

まぁこんなもんですかね。細かい作業と暑さが中々神経すり減らしてくれたけど、問題なし。アンプに繋いでも全く問題なしでした。

 

あ、ジャックのほうはわざわざ画像は残してません。

そっちの配線自体は数分で終わったので。

いかんせん元々のジャックが錆びて外れなくなっていて・・・取り外すだけで小一時間ほどswitchcraft社の堅牢で頑固なジャックさんと格闘し続けたのが意外だっただけで。

 

新しいswitchcraft社のジャックさんとは、とてもスムーズに作業が進みました。

 

 

 

んで。

 

 

電装系も終えて、ネックも取り付けた状態がこちら。

 

リフレットとスイッチ交換は終わったといえど・・・微調整がまだです。

 

 

 

特にフレット、ネック周り。

フレットのサイズや高さが変わったので、もちろん調整が必要になります。

弦高も今の新しいフレットだと低すぎるし・・・もうちょっと手を加えたいところ。

 

どうせ今は仮弦張ってる状態なので、この最終調整さえ完了したら、最後にエリクサーを張ってリペア完了です。

 

 

この記事で最後まで書きたかったのですが・・・この文量で書く時間もそうそう取れないので・・・一足先に掲載させていただきました。

 

ひと通りの作業は書けたので良しとしましょ。

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは、今回はかなり長くなってしまいましたが・・・本日もお疲れさまでした!!

 

 

 

 

 

 

 

ほなー。

リペア―リフレット、スイッチ交換等―」への2件のフィードバック

  1. zekiさんお疲れさまです〜😊👍✨
    いやぁ〜頑張ってもらったみたいでありがとうございます🙇🏻✨どれも夏場にやるリペアじゃないっすね😅(笑)生まれ変わったガーちゃん楽しみっすね〜😂👍✨
    zekiさんに頼んで良かったです😭✨
    最後まで宜しくお願いします🚀✨

    1. お疲れさまです!ええ、でも多分夏場はどんなリペアでも大変でしょうから・・・^^;
      いえ、この度はリペアのご依頼、ありがとうございました!!
      ぶっちゃけもうほぼ終わっているのですが、最後の調整までキッチリ終わらせてしまいたいので、もう少々お待ちくださいませ!

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