リペア―YAMAHA STH500M、ブリッジ交換(ザグリ拡張含む)とタッチアップ―

こんにちはこんばんは。

 

 

 

ねーむーいー…。

 

 

 

ここ数日はあんまり眠れていません。

ようやくちょっと暑さが和らぎ、夏らしい心地よい風も入ってくるようになったので、これ幸いとお仕事ガッツリやってますので。

 

ていうか先週までが暑すぎた。冗談や洒落じゃなく作業中ホントに身の危険を感じたから休み休みやってたらあんま進められなかったなぁ…。

いまのうちにたくさんやっておかなければ。

 

ここ数日は台風きてるから気温下がっただけで8月からはまた暑くなりますからね…。

 

がんばりましょ。

 

 

てことで、すっかりお待たせしている方々には本当に申し訳なく…倒れない範囲で頑張っておりますので、もう少々お待ちくださいませ…。

 

 

てことで今回もリペア記事。オーダー関係は一段落しそうなので、そちらも追々書いていきます。あとリフィニッシュ関係がとんでもない数になっているので、そちらも追々…。

 

 

で、今回の子もすっかりお待たせしてしまっている子ですね。掲載許可もいただいております、本当にありがたいことで、毎度皆さまのご好意に感謝いたします。

 

てことでさっそく画像をほいさ。

 

最初の段階の画像です。

 

モノはヤマハのストラトシェイプ。2ハム仕様の子。

 

 

作業内容はブリッジ交換。

 

型はYAMAHAのSTH500Mだそうです。ちょっと昔のもので経年による小傷等はありますが、思い入れのある楽器だそうですので、こちらとしても気合が入ります。

 

無断転載怖いので型でググっていただければ、より分かると思うのですが、

元々のブリッジが特殊な形状でして、今回はそのブリッジのスタッド部分との接点部分(エッジのところですね)が破損してしまったそうですので、新しくブリッジを付け替えたい、とのことでした。

交換するのはリプレイスメント用ブリッジの定番、GotohのVS100N。

元々のブリッジは梱包や発送の手間も増えるだろうし、今回は特に必要ないのでお預かりはしていません。あ、ちなみにこの子は県外からのご依頼。ありがたいことです。

ここんところ市内より市外からのお仕事のほうが多いんですが、最近では県外からもお問い合わせいただいております、なぜか。いや、嬉しいんだけどね?発送作業とか送料も大変だろうなぁ、と…。ここ会津は楽器屋もあまりないですからね…別に僕は必要ないんですが、やっぱりそういうところが近くにないと大変だなぁって…。

 

っと話が逸れた。本題に戻ります。

 

 

 

とりあえずまずはスタッドアンカーを抜くところから。

 

 

これ抜かないと何も始まらん。

 

 

 

で、抜いてから思った。

 

アンカー太いなぁ…。

 

たしか14mmくらいあった気がします。

 

こんだけ太いものが入ってた穴…。

当然新しいブリッジ用に穴埋め・あけ直しが必要です。

 

が、本格的な作業に入る前に積極的に脱線します。

 

交換するブリッジについて。

VS100Nについては有名どころなので、情報もたくさん出回ってますし、換装難易度も普通なんですが…

動画サイトとかで検索して出てくる取り付け動画(解説付き)とかはあんま参考にならんので見なくていいです(バッサリ)

たしかギタマガのチャンネルだったかな…あんなん見るより、もっとプロい方々が自サイト等で工程を上げていたりされるので、そちらのほうが有益です。ってかリペアにせよ製作にせよ国内で動画うpしてる連中とかロクでもない連中ばっかだしな←おまry

 

 

そんなブーメラン投げつつ、本筋に戻ります。

 

作業再開。

今回埋める穴は3つ。スタッドアンカー2本と、恐らくアーム用?なのかわからんけど、ちょっと落とし込んである小さい穴1つ(小さいって言っても12mm径くらいあるんですけど)

で、14mmだの12mmだの埋めるわけですが、その径ピッタリの丸棒材なんてオーダーしたりでもしない限りそうそうありません。ついでにうちの工房には旋盤もないので、穴を拡げます。

 

14mmは15mmへ。12mmはそのまま12mmですが、塗装のぶん狭くなっているのでキッチリ12mmにあけ直し。

で、そっから15mmと12mmのラミン材を接着・圧入。

 

接着中…。

 

あ、ちなみにネット上の通販等では15mmやら12mmのラミン棒はもうあんまり多くないです。あっても単純にかなり割高でコスパが割に合いません。

いまではそういうところは大体代用材とかを売ったりしている模様。

 

てことで画像のラミン材は市内のホムセンで購入。何件かハシゴして探しましたが…最後の一件でようやくゲット。さすが田舎のホームセンターだぜ、大量に稀少(と言われているけど実感ない)なラミン棒をゲットしてきました。

工房にも数mm単位の丸棒はストックしてあったけど、まさか11mm以上の丸棒が必要になるとは思わなんだ。

 

そんで接着が完了したら、

 

余っていたところをカットして、

 

限界まで平面を出して完了。

 

さすがにこの太さなのですっごい神経を使いましたが。

 

 

で、さっそくブリッジ用のスタッドアンカーをあけたいところですが…その前に。

 

 

ご覧のとおり、ブリッジが入りません。

アーム部分が干渉しますね。

当然ザグリ拡張が必要です。しかも結構な大きさで。

まぁ拡張が必要なこと自体は当初お問い合わせいただいたときに含まれていたことなので、問題ありません。3つ目の小さめの穴を埋めたのも、その部分がザグリ拡張に影響してくるので埋めたわけですし。

 

まぁザグリは比較的好きな分野ですしね。リペアというより、製作に寄っている作業ですのでそこらのリペアマンには負けない程度には場数を踏んでいます。

 

 

てことでちゃっちゃか拡張しましょ。

いつも通り前準備。

なにが手間だったって、配線とかポットとかあるから、邪魔にならないように脇によけたり、スイッチ類を一時的にキャビティ内に引っ込んでもらったりってのが一番時間かかってます。

 

で、枠で囲んだので…

 

ザグリます。

 

ところでなんで奥に立派なルータがあるのに相変わらずトリマー愛用してんだろ…。

 

ルータは重いですからね…。製作とか一気に色々掘る場合は頼りになるんですが、ちょっとした細かいところだけザグる時にはやっぱり軽いし小回りの効くトリマーが便利です。今回は特にプランジ機能いらないところだし。

 

 

 

リペアで掘る程度の切削でわざわざ気取ってルータは使いません。

 

あ、忘れてた。

 

今回使用したのもコロ付ビット。トップベアリングパターンビット(だっけ?)

 

中くらいの長さです。刃長は10mm。なんだかんだ一番使いやすい。

 

 

このほか、長い25mmや短い6mmの刃長のもありますが…その時々で使い分けます。製作始めた時は25mmしか持ってなかったから苦労しました。揃えようと思うと地味に高いし。

 

で、ザグリ一回目がこちら。

 

すごいピンボケしててごめんなさい。

 

むしろくっきり映っているのはボディに映りこんだバンドソーとボール盤…。

 

 

そんで数回に分けてザグって、様子見つつ、ちょっと小技きかせて(後述)

 

ザグリ拡張は完了。

 

…やっぱり小さな穴にも影響しましたね。穴埋めといて良かった。

 

で、すっごい細かいことですが、自分的にかなり頑張ったところなので上述の小技に関しても蛇足しておきます。

 

 

今回のブリッジザグリはトップ側から拡張したわけですが、拡張部分は裏まで貫通させていません。

ちなみに加工完了後のバック側の画像はこちら。

 

正直裏まで貫通させてしまったほうが楽です。が、その場合裏側も拡がってしまいます。そうなってしまうとバックパネルをつけた時に見栄えが悪くなってしまうわけですね。まぁ僕個人としてはこの部分のパネルはなくても構わない人間ですが、気にされる方もいらっしゃいますので。

 

オーナーさんにも裏まで影響してしまうかも…とはお伝え済みでご了承も得ていて僕と同じ考えのオーナーさんだったから良かったけれど、だからといって思考停止して裏側からやるのもつまらない、と思いまして。

 

今回は特にアーム用のソケット部分のみの拡張ですので裏まで貫通させる必要もないし。

 

ただ、裏側からザグらない限り、ブロック可動域のザグリ(アームダウン時の確保幅)が出来ません。普通は。特殊なビット等を使わない限り。

ですので、全て表側から。かつトップ面数mm残してその下をザグるとかいう曲芸に挑戦してみた。もちろんバック面に一切の影響なく。むー…結構大変だったんだけど説明難しいなぁ・・・多分、普段から製作で色んなルーティングをやってる人なら分かってくれると思ふ。

アレだ、ブリッジザグリはパッと見わかりずらいけど結構複合的なんですよ。特定の寸法の一回の切削でズドンと貫通させて終わるのは普通のストラトのザグリだけ。大体他のブリッジだと裏側からだったり、表側からだったり何回かに分けて広さも変えてザグリます。まぁ一番メンドイのはFRTのリセスありきのザグリだけど。

 

ですので、今回は普通にトリマーとコロ付ビットの他、普通の下付きコロや変わりダネの下付きコロ、果てはノミも使って手作業でもやってます。

まぁ終わってしまうとホント分かりずらいんですけどね…図解するほどでもないし。

なにはともあれ、すっごい楽しかったです。やっぱザグリとかの木工の難しい作業は燃えるから楽しいですねー。

 

で、多少上の画像から戻って、拡張後の作業に戻ります。

 

これは…センター決めしているところですね。

 

 

ここはセンター決めだったり、スケール割り出しで、長尺やスコヤなどを使ったチマチマした作業です。が、一番大事なところなのでじっくり時間をかけます。

 

 

で。

 

 

 

軽く下穴あけてからの…スタッド穴あけ。

 

 

 

 

 

この時だけは緊張はしますが、まぁ慣れてますので穴あけ自体はすぐ終わります。

 

 

 

 

 

で、交換用のVS100Nのアンカーを圧入して完了。

 

大事なところはこれで終わり。

 

 

ただ、埋めた元々のアンカーの跡が大きいので、これが気になります。

 

 

 

てことで、オーナーさんとご相談して埋めた跡のタッチアップも行います。

 

ただ、大きく補修するなら結構な作業ですし、経年であちこち塗装の劣化も見当たりますのでいっそリフィニッシュしたほうが早いんですが…当然のことながらリフィニッシュはお高いので、埋めた跡のタッチアップだけにします。

 

さすがにこの大きさを埋めたので境目とかで多少違和感が残ってしまうんですが…こればかりは仕方ないですね。

 

とか言いつつ、タッチアップの具合が気に入らなくて何度かやり直していますwそのせいで余計に納期遅れちゃった…。

 

まぁこれでもまーだ納得いってるかっていうと微妙なところなんだけど…これ以上はもうドツボに嵌りそうだからなぁ…。

 

 

 

てことで完了後の画像です。

 

あ、一回仮弦張って調整していたら、地味にネックも反っていたので、一度ネックを外して修正しておきました。

 

 

ついでにいつも通りフレットも研磨して…綺麗になっております。

 

 

んー…ただ遠くからだとあまり目立ちませんが、タッチアップ跡がやっぱり分かりますねー…。

経年で塗装も日焼けしてるので…結構難しいなぁ…。

 

 

 

この距離で日光の下だとあんま気になりませんが、蛍光灯だと多少気になります。タッチアップで出来る範囲だとさすがにこれ以上はキツイか・・・。

 

 

 

 

あ、ちなみに弾き心地や音はとっても良いです。

これはブリッジ云々とかではなく、この子の個体としての出来が良いだけなんでしょうけれど。

 

ブリッジに関してはアーミングの可動域もキッチリとってありますので、よほどムリなアームダウンをしたりしない限り大丈夫そうです。それ以前に多少フロートしてセットアップしたので音程がアレになってしまうんですけどね。

 

 

 

 

 

 

っとまぁそんな具合で今回のリペアは完了。

 

 

可及的速やかに発送準備に取り掛からねば。

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを書いているうちにまーた長くなってしまった…。

 

 

 

 

作業しながら今回の記事は2分割かなぁ…とか思っていたけれど、なんとか1本に収まりましたね。苦心したタッチアップをバッサリカットしたからなんだけど。

 

 

 

あ、他のリペア記事も溜まっておりますので、そっちも追々…。オーダーの子ももう大体終わっているので動画も作んなきゃ…あ、撮影まだだった…。

あと…ツイッターにもチラ見せしていますが、別件でいろいろ試行錯誤しております。こっちは製作…か?作業の合間だったり昼間の暑さがやばい時にチマチマやっていた作業もある程度(失敗という形で)目に見えてきたので…追々それも記事で上げます。今後成功してきましたら試供品としても提供予定ですので(製造単価高いのはいくらか頂きますが)もしよろしければご一報くださいませ←宣伝。

 

あ、ていうか動画サイトとかツイッターとか相互リンクしてないから、このサイトからは飛べないんですよね…(ていうお問い合わせもチラホラ…ごめんなさい)どーやるんだろう……ま、まぁそのうち貼っときます。

 

 

 

 

 

てことで、長くなってしまいましたが本日もご覧いただきましてありがとうございました!

 

 

 

ほなー。

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